パフォーマンスの高いスクラムチームにとって、アウトプット(成果物)とアウトカム(結果)の違いを理解することは重要です。 アウトプットは、人またはチームによって生産されたものの量です。 アウトカムは、価値または最終利益であり、結果です。 スクラムチームは 、アウトプットとアウトカムの両方に対して経験的な工程管理を用います。 どちらもチームが適応できるように検査を受けます。透明性が高いほど良いです。
アウトプットは、例えば、開発された機能とか、生産された機能性ということがあり得るでしょう。 アウトカムは、品質の向上や顧客満足度の向上など、そういったアウトプットから達成したい目標、あるいは結果です。 アウトカムは、ステークホルダーと顧客のニーズ(アウトカム)を満たすために、チームがスプリント(アウトプット)から生み出す価値です。 プロダクトオーナーは、ユーザーにとって望ましいアウトカムを達成するのに十分な価値創造ができたときにリリースすることを決定します。
アウトプットとアウトカムの違いと、 アジャイルチームが 両方をどのように使用するかについて説明します。 また、組織が結果を出す際に、よりアウトカムに焦点を当てる方法についても見ていきます。
アウトプットとアウトカムの例
初心者に役立つそれぞれの一般的な例は次のとおりです。
アウトプット:
- 労働時間
- コード行数
- チームのベロシティ
- 製品インクリメント
- バーンダウンチャート
- 完成したスプリントセレモニー
- 自動化されたテスト ケース
- 整理された製品バックログまたはスプリントバックログ
- ステークホルダーのフィードバック
- レトロスペクティブの実験
- スコープ内、予算内、納期内の納品
アウトカム:
- チームのベロシティの向上
- 検証された仮説
- 内部コストの削減
- 月間サブスクリプションの増加
- 顧客維持率の向上
- より多くの患者の命を救った
- 株価の上昇
- 市場シェアの拡大
スクラムチームがアウトプットを作成する
スクラムチームは、作成したアウトプットを継続的に評価します。 彼らは適応する機会を特定するための指標としてアウトプットを利用します。 スプリントバックログ、タスクボード、バーンダウンチャート、ベロシティトレンドなどのアジャイルツールは、納品の評価に役立ちます。 スプリント計画、デイリースクラム、スプリントレビュー、 スプリントレトロスペクティブなどのセレモニーは、チームがアウトプットを最大化するのに役立ちます。 彼らはチームワークから生まれたアウトプットの内、意図されたものと意図しないものに注意を払います。
ただし、アウトプットだけに焦点を当てると、問題が発生する可能性があります。 チームのアウトプットは、顧客が要求するアウトカムを達成する必要があります。 アジャイル製品開発とは、ステークホルダーや顧客にとって望ましいアウトカムに到達するまで、タイトで短いフィードバックサイクルを繰り返し実験することです。 チームは絶えず不確実性を確実性に置き換えます。
すべてのアウトプットがアウトカムにつながるわけではありません。 たとえば、労働時間や記述されたコード行数は、必ずしも顧客にとってより高いアウトカムを意味するわけではありません。 場合によっては、間違ったアウトプットに焦点を当てると(Dilbertを参照)、顧客のアウトカムが低下する可能性があります。
アジャイルの原則は、チームがアウトプットを作成および改善する際の指針となる
- ビジネス側と開発者は、プロジェクト全体を通して毎日連携する必要がある。
- やる気のある個人を中心にプロジェクトを構築する。 彼らが必要とする環境とサポートを提供する。 そのうえで、仕事を成し遂げるために彼らを信頼する。
- 開発チームとの間で情報を伝達する最も効率的で効果的な方法は、対面での会話である。
- アジャイルのプロセスは持続可能な開発を促進する。 スポンサー、開発者、およびユーザーは、永続的に一定のペースを維持する必要がある。
- 卓越した技術と優れた設計に継続的に注意を払うことは、アジリティを高める。
- シンプルさ ー不必要なの作業を最大限に減らす技術ーが不可欠。
- 最高のアーキテクチャ、要件、および設計は、自己組織化チームから生まれる。
- チームは定期的に、より効果的になる方法を振り返り、それに応じて行動を調整および微調整する。
スクラムチームが結果(アウトカム)を出す
結果を出すための基本的な要素は、存続期間が長く、ほぼ永続的なスクラムチームそれ自体です。 スクラムチームは、顧客を理解し、彼らのニーズのビジョンを設定できるプロダクトオーナー、部門横断的でマルチスキルの開発チーム、サーバントリーダーであるスクラムマスターで構成されます。
彼らが協業するとき、彼らは タックマンの4つのフェーズ (形成、混乱、統一、機能)をナビゲートします。 彼らは製品を深く理解し、スプリントの後にアーキテクチャスプリントを強化し、ユーザーのニーズをより良く満たすように製品を調整します(「創発的アーキテクチャ」として知られています)。 このプロセスを通じて、彼らは顧客を深く理解します。 チームを分割したり、混乱させたりすると、組織全体がアウトカムベースの納品を追求するかたちに戻ります。 顧客と製品に関する経験を共有することにより、永続的なスクラムチームは、より良い結果を完ぺきなかたちで提供できます。
彼らが生み出すアウトプットは数多く、レトロスペクティブでの実験の適用に習熟するにつれて、その数が増加することさえあります。 しかし、彼らが生み出すアウトカム果は、あらゆるセレモニー、アーティファクト、役割の焦点となります。 スプリントレビューは、実際のアウトカムあるいは予想されるアウトカムを評価するためのフィードバックのサウンディングボードです。 組織によるサポートとエンパワメントは、アウトカムを提供する能力を向上させます。
アウトカムの達成に役立つアジャイルの原則は次のとおりです。
- 最優先事項は、価値のあるソフトウェアの、早期かつ継続的な提供を通じて顧客を満足させること。
- 開発の後期であっても、変化する要件を歓迎する。 アジャイルのプロセスは、顧客の競争上の優位性のために変化を利用する。
- 実用的なソフトウェア(製品)を、数週間から数ヵ月の間で、短い方を優先して頻繁に納品する。
- 実用的なソフトウェア(製品)は、進歩の主要な尺度である。
組織がアウトカムを提供するための道のり
価値へのロードマップは、望ましいアウトカムに達成するための基盤です。 左上から始まり、ターゲット顧客、彼らが得るメリット、および競合する代替品との製品の差別化要因を概説する明確な製品ビジョンがあります。 ユーザーに、彼らの製品を「買う」だけの説得力のある理由を与えます(製品が販売物である場合)。
これに、ユーザーが得られるアウトカムを記した製品機能のロードマップを加えることで、最初から止められない製品戦略が出来上がる。 各機能において、チームは「私の顧客は今ではXXXができるようになった」というフレーズを使ってロードマップを作成します。各機能、エピック、およびユーザーストーリーで望ましい結果を体系的に絞り込みます。
正確にはスクラムの定義ではありませんが、ユーザーストーリーはアウトカムに焦点を当てるための優れたツールです。 実際、受け入れ基準の目的は、機能の望ましいアウトカムをつかむことです。 すべての開発とテストは、目的のアウトカムを達成したことを検証することに焦点を当てます。 チームの 完了の定義 によって、そういったアウトカムを達成するために機能が使用可能であることを確かめます。
製品のビジョンとロードマップが整っていると、リリースとスプリントを計画し、目標を達成するための目標やストーリーを確立するための境界が明確になります。 製品ビジョン、各エピックや機能、各目標、各ユーザーストーリー、そして各タスクでさえも、望ましいアウトカムにまでさかることができ、それを支えます。
アジャイル移行の目的は、組織がより良いアウトカムに達せられるようにすることです。 アジャイル移行は、多くの研究と議論の対象となっています。 重要なことは次のとおりです:
- アジャイル評価から始める:現況を理解して、進むべき道を定義できるようにする。
- 旅に備える:トレーニング、コミュニケーション、組織のサポートと変化への勢いを構築する。
- アジャイルの価値観と原則を実践する際に模範を示す:アウトカムベースの納品の例を示すことで、仲間についてきてもらう。
- 助けを得る:経験豊富な移行の専門家(プラチナムエッジのコーチングスタッフなど)と提携する。
アウトカムが有意義な価値を生む
パフォーマンスが高く、永続的なスクラムチームは、顧客のためにアウトカムを達成することばかり考えています。 アウトプットは不可欠なものであり、チームはアウトプットに基づいて頻繁に検査して適応しますが、有意義な価値を生み出すのはアウトカムです。
スクラムチームは、すべてのストーリー、タスク、スプリント、リリース、製品ロードマップ、ビジョンによってアウトカムへと導びかれます。 毎日のスクラム、スプリント計画、バックログの整理、スプリントレビュー、レトロスペクティブのすべてがアウトカムとして終わります。 検査、適応、透明性を利用して、途中でアウトプットとアウトカムを評価することにより、経験的な工程管理を最大化します。
顧客はアウトプットに対してお金を払いません。 彼らは、彼らのニーズをうまく満たしているか製品、または彼らの問題を解決する製品にお金を出すのです。 彼らはあなたが創造する価値、つまりあなたが彼らのために達成したアウトカムに対してお金を出すということです。
プラチナムエッジはアウトカムを重視しています。 12,000人以上をトレーニングしたというアウトプットがあります。 そのアウトカムとして、私たちは受講生から、業界で最も高い99.99%の推薦率を得ています。
組織にとって有意義な価値を推進する方法をより詳しく知りたいかたはこちら。