アジャイル移行を成功させるための 3 つの鍵

Scrum Allianceによる最新の State of Scrum 2017-2018 には、次のように書かれています:

「アジャイル移行をしない組織は滅びます。それは、企業がコンピュータの使用を拒否するのと同じです。アジャイルとはつまり、迅速なフィードバック、ひいては迅速な学習に他なりません。今日の複雑な世界では、最速で学習する組織こそが勝ち残るのです。」

組織が生き残るために、アジャイル移行が不可欠だという場合、どのように準備を整えればいいのでしょうか? この記事では、成功している組織が、チームを整備するために実行する3つのステップについて説明します。

  1. まず自分から始める
  2. うまくいくための環境作りをする
  3. 成長のためにしっかりとした基盤作りをする

まず自分から始めるー自分にとって理想の変化を具体化しましょう

逆説的ですが、チームがビジネス上のアジリティを向上させるための最初のステップは、自分自身から始めて、理想の変化を具体化することです。 組織文化の改善においては、あなた自身の指導と援護が最も重要です。 あなた自身が作りたい新しい文化を実践し始めましょう。 他人のことは変えられないということを忘れないでください。 人は、自分で変わりたいと思わなければ変わりません。 個人的なアジリティの例を示すことは、最も強力なチェンジエージェントになります。

個人ができる行動としては、意思決定を行う前にデータを集める、合理的な失敗は許容する、実験を促す、高レベルの品質に対する期待を持ち続ける、過度にコミットしない(または過剰なコミットメントを要求しない)、真実を話す(たとえやりづらくても)、チームメンバーや同僚に対してはありのままの自分でいる、などがあります。

成功する組織は、自分たちがどうなりたいかというビジョンを持つことから始まります。 ビジョンは、最初こそ もやっとしているかもしれませんが、成功する組織は、達成したい方向性と主要な結果について理解しています。 このビジョンは、チームが変革できるようにするための重要な要素になります。 それがなければ、チームにとっては、変革を遂げるための説得力のある理由がありません。 変革の「理由」を理解していれば、チームのパフォーマンスは高くなります。その鍵を握るのは、あなたです。 (よくあるアジャイル移行の理由については、 Forbes Insights: The Elusive Agile Enterprise, 2018 を参照してください。)ビジョンが明確になったら、模範を示してそのビジョンに向かって進みます。

自分のためにアジリティを学ぶ

次のステップは、自分自身を教育することです。 ビジネスのアジリティをより深く理解するためには、多くの選択肢があります。 認定スクラムムマスター (CSM)、認定スクラムプロダクトオーナー (CSPO)、認定アジャイルリーダーシップ(CAL)など、スクラムの入門コースを受講することをお勧めします。 役に立つ 書籍 もたくさんあります。 『Scrum Guide』を読み直したり、暗記したりすることも役に立ちます。 アジャイルの価値観と原則に関して、あなたが理解し体現できれば、人はあなたについてくるでしょう。

トレーニングから得られる重要な所見の 1つは、顧客の問題に最も精通している人々が意志決定を下す権限を与えられた、自己組織化チームを形成するという概念です。 管理職からの階層的なトップダウンの指揮統制は、アジャイル組織では衰退します。 サーバントリーダーシップ的な視点で組織が動く心地よさを知ってください。 権限を与えられたチームを率いるためには、新しいスキルを学ぶ必要があると、多くのリーダーたちが感じています。

成功のための環境を作る

次に、チームには自分たち自身、およびその仕事を支えてくれる環境が必要になります。 ほとんどの場合、対処する必要がある問題をよりよく理解するために、現状を評価することから始めます 。 評価で得られるものは、良い出発点として役立つアジャイル成熟度ロードマップです。 経験豊富な指導者と提携することで、変革への道が非常に歩みやすくなります。 だからと言って、それがあなたの組織を変革してくれるわけではありません。 変革できるのは、あなただけなのです。 アジャイルの原則 5 をしっかりと覚えておきましょう。

「やる気のある個人を中心にプロジェクトを構築します。彼らが必要とする環境とサポートを提供し、仕事を成し遂げるために彼らを信頼してください。」

利用可能な組織変更管理アプローチはたくさんあります。 Prosciの ADKARまたはコッターの変革の8段階モデルが良い出発点になります。

ATT(アジャイル移行チーム)

最初のステップは、ATT(アジャイル移行チーム)を形成することです。 ATTは、エグゼクティブスポンサーによるサポートの第一歩です。 ATTは、組織を変える権限を与えられた、より上層部のリーダーたちによって、組織を横断して構成され、スクラムを用いて業務をこなす模範を示します。 ATTの目的は、チームが潜在的な能力を発揮するのを妨げる、組織内の障害に対処することです。 パイロットチームのレトロスペクティブは、ATTの、組織改善に関するアイデアのバックログに反映されます。 パイロット チームのベロシティは、作業する組織環境によって制約されますが、これらの制約を取り除くことができるのは、 あなたが作るATT以外にありません。

ATTのメンバー候補の検討は、当ブログ記事「変革の成功はアジャイル移行チームにかかっている」で述べたように、組織の変革における重要なステップです。 ATT によって生み出される勢いは、アジャイル変革成功の鍵を握る、重要な要素なのです。

Scrum Allianceは、ほとんどの組織が(ATTを通じて)下記のような環境障害に対処する必要があることを発見しました(最も一般的な回答順)。

  • 組織の設計と文化が、物事を難しくする
  • 上層の管理職からのスポンサーシップ/サポートがない
  • アジャイル思考に移行するチームへのサポート
  • ポートフォリオ内の他プロジェクトとの連携
  • 成功を評価するための、明確に定義されたメトリクスがない
  • 信頼の欠如
  • 知覚できる予測可能性への欲求
  • 透明性への恐れ
  • クライアントを説得しなければならなかった

State of Scrum 2017-2018

以下は、組織がよりアジャイルになるために行った典型的な変革の例です(最も一般的な回答の順)。

  • よりアジャイルになるために第三者をコンサルタントとして雇用
  • アジャイルの考え方を組織文化の一部として導入
  • アジャイルを促進する動機を形成
  • 業務プロセスの再編
  • レポート構造の再編成
  • アジャイルのプロセスを率いるための労働力を訓練/雇用した
  • アジリティ担当の役職/グループを形成
  • よりフラットな構造を導入

Forbes Insights: The Elusive Agile Enterprise, 2018

検討すべき他の環境的成功要因(つまり、次のことに「はい」と答えることができますか?)

  1. 小規模で、近接した(同じタイムゾーン、場所、地域など)部門横断的なチームを編成できますか? チームは、就業日に毎日(リモートでも)共同作業ができますか?
  2. 時代後れのSDLC(変更/リリース管理プロセス)でも、チームが製品に責任を持ち、失敗から学ぶことが可能ですか?
  3. 実験の文化がありますか?
  4. 失敗と早期の学習が受け入れられるばかりか、奨励されていますか?
  5. チームのメンバーたちには、(一人の英雄的行為や応急処置がたたえられるのではなく)一定のペースでチームの利益のために働くことの動機がありますか? (アジャイル原則8:持続可能な開発の促進)
  6. 開発者と顧客を遠ざける、組織の障壁は取り払われましたか?
  7. 継続的な統合とテスト自動化をサポートするためのツールセットとトレーニングはありますか?
  8. 技術的負債は妥当な水準に維持されていますか? (たとえば、リファクタリングは一般的に行われている、テスト自動化のカバレッジは包括的である、技術スタックは最新だ、など)。

基盤を固める

明確なビジョン、アジリティ教育、およびATTという基盤があると、パイロットチームの準備を行うことができます。

変革前のチームの多くが、大規模で、分散していて、サイロ化され、専門化されています。 足かせになるようなオフショアの交流が一般的です。 変更諮問委員会、アーキテクチャと品質保証の承認など、多くの障壁がチームの前に立ちはだかります。 こういったものは、出来事に反応していくなかで、長年かけて構築されてきたものです。 IT組織は、意図的に、顧客に見えないところ隠されています。 PMOは、ビジネス上のアジリティを実現するのではなく、「品質向上」または「コスト管理」という旗印の下で、SDLCのゲートやコントロールのコンプライアンスの徹底ということを業務としてきたのかもしれません。 ビジネスのアジリティには、異なる考え方、理解、働き方が必要です。

アジャイル移行に向けてチームの準備を整えるには、教育が必要ですが、まずはトレーニングから始めるのが通常です。 仕事と顧客に対して、どのようにアプローチするかについて、新しい考え方を形成する必要があります。 効果的なトレーニングはインタラクティブであり、業界経験が豊富なインストラクターが教える安全な環境で、スクラムなどのアジャイルな価値観、原則、テクニックを学ぶ機会をチームメンバーに与える必要があります。

トレーニングすることで、受講生は学んだことをすぐにでも適用したい思うようになり、変化への勢いがつきます。

専門的なアジャイルコーチのサポートは、トレーニングで学んだことを最大限に生かし、それを仕事に適用するのに役立ちます。 チームが結成されると、彼らは一日中ともに働けるようにしたいと思うでしょう。 一度に1つのチームを構築することに集中しましょう。 次のチームを形成する前に、最初のチームが、予測可能なベロシティを実現できるよう、サポートしてください。 パフォーマンスの高いチームは、数週間や数日ではなく、数カ月から数年にわたって構築されていくということを忘れないでください。 チームを入れ替えたいという誘惑に負けないでください。 永続的な好機には、永続的で安定したチームが必要です。

チームメンバーのそれまでの作業の穴を埋めるか止めるかして、チームとして初めてのスプリントとリリースの目標に到達できるよう調整する必要があります。 アジャイル移行のチームメンバーは、スプリント始めたがるので、 穴埋めの選択肢を複数用意しておくと良いでしょう。 チームが成功するための適切な環境を確保するためにATTと緊密に連携する際、コーチの指導が必要になります。

残された仕事や組織が何であれ、変革チームの一員でない人々がうまくやっていくためには、慎重な計画が必要になります。 自分たちが忘れられているわけではないということと、席を失うことはないという安心感を彼らに与えましょう。

新しいチームがスクラムを正しく実践していることを知る1つの方法は、スプリントごとに出荷可能な製品インクリメントが作成されることです。 チームによっては、スプリントごとに「完了の定義」基準を満たす、完全に開発およびテストされた製品インクリメントを作るのに苦労します。 彼らはオーバーコミットするという、昔ながらのプレッシャーを感じるかもしれません。 ATTとリーダーは、そのようなメンバーを勇気づけ、あきらめることなく、レトロスペクティブを利用して調整を行うよう励ましましょう。

あなたがしっかりとした基盤で成長する時に、リーダーによるチームからの制約に影響されることがないようにしてください。 あなたの目標は、何よりも顧客価値を高めることに尽力するチームを作ることです。

まとめ

パフォーマンスの高いチームを作ることに成功している組織は、変革が強力なリーダーシップのサポートから始まることを理解しています。 リーダーたちは、明確なビジョンを設定し、望ましい結果を特定し、潜在的なチェンジエージェントを特定し、ビジネス上のアジリティについて学び、専門的なコーチングの協力を得て、成功のための環境作りをする必要があります。

この基盤が整うと、アジャイルトレーニングやチームワークを促すための物理的および電子的な環境、穴埋め業務、あるいは移行計画、そしてリーダーからの援軍と激励などを通して、顧客のニーズについての考え方が変わり始め、チームは力強く成長していきます。

アジャイル移行においては、勢いがすべてであることを忘れないでください。 あなたの勢いをてこに、組織を次のレベルに押し上げましょう!

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