アジャイルトレーニングとコーチング:なぜどちらも必要なのか

初期バージョンの『スクラムガイド』には、 「スクラムはライトで理解しやすいが、習得するのが難しい」と記載されていました。これは確かに真実です! スクラムは単純なのに、実践し、やりこなすことがとても難しいなんて、驚くべきことです。 権限を与えられ、自己組織化した人々が、顧客の利益のために共通の目標にむけて協力する必要があるため困難なのです。 チームとしてこれをうまく行うには、専門的なアジャイルトレーニングとコーチングの両方が必要です。

多くの人が、時間やお金を節約するために、組織と契約するコーチが、その一環でトレーニングを提供できるかどうかを尋ねます。 可能ですが、お勧めしません。

この記事では、アジャイルトレーニングとコーチングの違いと、それぞれに投資することで組織が最大の利益を得るのに役立つ理由について説明します。

アジャイルトレーニング

アジャイルトレーニングは、「人に特定のスキルや、ある種の行動姿勢を教える行為」です。 トレーニングとは、教師から生徒に知識を引き継ぐことです。 それは個々のスキルを開発し、実行する能力を向上させることを含みます。 トレーニングの最終目標は、短い時間枠内で 、何をすべきかを知る ための知識を備えた十分な情報を持つ学生を確立することです。

スクラムトレーニングの入門講座では、受講生はスクラム理論を深く理解し、その後、学んだことを実践するための、簡潔でインタラクティブな演習を行います。 受講生は共通の語彙を習得し、反復開発に対するスクラムチームベースのアプローチに関する深い知識を習得します。 スクラムのアーティファクト、イベント、および役割について詳しく教えます。

トレーナーは受講生を成功へ導くトレーニングの専門家

Scrum Allianceは、認定スクラムトレーナー(CST)の称号を持つスクラムトレーナーを認可します。 これにより、業界全体で一貫したトレーニングが行われ、アジャイルマニフェストの価値と原則に忠実であり続けることができます。 Scrum AllianceはCSTを審査し、コース開発と教育認定の要件は厳格です。

トレーニング内容の継続的な改善

CSTはまた、すべての講座後にトレーニング内容を改善することに重きを置いており、これにより、受講生にとってトレーニングセッションが非常に価値あるものになっています。 経験から、学生がアジャイルのスキルと概念を学ぶための最良の方法を理解しています。たとえば、 プラチナエッジは20,000人以上の学生をトレーニングしてきました。 その経験と受講生からのフィードバックは、さらに質の高いコースを構築するのに役立ちます。

従業員に適切なメッセージを送る

CSTからトレーニングを受ける受講生は、業界で認められた資格であるスクラム認定資格を持っています。 コーチからトレーニングを受けても、この資格は得られません。 従業員が認定コースに参加できるようにすることで、その組織が、従業員の個人的な成長とキャリアに真剣であることを示すことができます。

アジャイルコーチング

コーチは、トレーニングを現実世界に広げます。 コーチングとは、トレーニングで学んだことを実践するための個人的および組織的な説明責任を可能にすることです。 アジャイル コーチは組織と連携し、トレーニングから得られた指導を実践的な経験に進化させるのに役立ちます。

経験豊富な現役のコーチは、刺激を与えてくれ、気づきをくれ、励まし、挑戦させ、導き、支え、フォローしてくれます。 コーチは、その場その場で、難しく、内省的な質問を投げかけ、人々にもっと良くなりたいと思わせてくれる。 コーチは教える一方で、正式なトレーニングの延長として戦術的に教えます。

トレーニングは、受講生が数日の時間枠内でカリキュラムを理解できるようにすることに重きを置いています。 アジャイルコーチングはより永続的です。 コーチは長期的な信頼関係を築きます。 優れたコーチは、練習が完璧を生むのではなく、永続性を生むのだと理解しています。 だからこそ、複数のサイクルの繰り返しをするのです(スプリント計画、デイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブを何度も何度も実践する)。 彼らは目標値を高く設定し、誰もがそこに到達するよう勇気づけます。

ゴールデンステイト・ウォリアーズのNBAコーチで元選手のスティーブ・カーと、オールスターに6回、MVPに2回、NBAチャンピオンに3回輝いた2023年のステフィン・カリーの親密なコーチングの瞬間を収めた1 分間の動画がYouTubeに公開されている 。 コーチとしてのスティーブ・カーが示す態度は注目に値します。 動画の中で、カーはステフィン・カリーにこう語ります。

「観てみろ(試合の指標を指して)。君のシュート得点の合計で、これが君のプラス/マイナスだ。いいか? 必ずしも連携していないんだ。」

「試合での君は素晴らしい! 君が試合に出ているときはテンポが変わる。君が生み出すすべてが、チーム全体のためにポジティブな効果をもたらしている。こちらを見てもそれは表れていないが、こちらには現れている(試合の指標を指しながら)。息子よ、君は素晴らしいことをしているんだ。君らしくやれ!」

「一生に一度でいい。君が今感じていることが何であれ、私もそれを共有したい。」

「私が君の好きなところは、、11回中2回しかシュートに成功していなくても、それでも躊躇せず、60フィートのシュートを打とうとするところだ。リーグの誰もそんなことしない。君は自信に満ちてる。すごい!素晴らしいよ!私だって君のような自信が欲しいくらいだ。」

「ポップ(グレッグ・ポポヴィッチ)が私のメンターだった。彼は難局でいつもこう言った。『難しいもんなんだよ』って。」

「大好きだよ」

2023年のステフィン・カリーと彼のチームメイトは、効果的なトレーニングとコーチングの産物です。 トレーニングが、選手達の個人的な能力を高め、コーチングが有能な選手たちが集まるチーム全体の能力を高めました。 コーチングが、チームとしての勝利を導きました。 その潜在能力を最大限に発揮するためには、ゴールデンステート・ウォリアーズという組織全体、トレーナー、コーチ、すべてが連携する必要があったのです。 トレーニングとコーチングは別個の行為でしたが、共存関係でした。 どちらも単独では成功できません。

専門的なトレーニングとコーチング、そのどちらも利用する

アジャイルコーチは、スクラムの基本について組織をトレーニングできます。 しかし、このトレーニングでは、CSTの準備と経験の恩恵を逃すことになります。 何年にもわたって構築されてきた、洗練されたカリキュラムを使えないからです。 業界で認められた資格を利用してキャリアアップすることができません。 同様に、適切なコーチングなしでは、トレーニングを終えたばかりのチームメンバーが、実際のプロジェクトや製品に学びを適用することを手放しで期待することは難しい場合があります。

ほとんどのクライアントは両方を利用します。 あるクライアントは、専門的なトレーニングが組織を変革するために必要な勢いを生み出したことに気づきました。 それは成功のための強力な基盤を築きました。 アジャイルコーチが訓練を受けたチームメンバーと関わるにつれて、その基盤が、チームがうまくまとまり、顧客にとって価値のある製品インクリメントを迅速に作り出すことができました。

コーチは、チームがトレーニングで学んだスキルを余すことなく使い、頻繁な繰り返しによって実際の状況に効果的に適用できるようサポートしました。 チームメンバーとコーチとの間の永続的な信頼関係ができあがっていきました。 訓練を受けた従業員は、このように、将来へ投資することにより、新たな熱意を感じました。

トレーニングとコーチングの目的は異なり、そのどちらも不可欠なのです。 チームが認定トレーニングと現場でのコーチングを組み合わせると、成功に向けての準備が整います。
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