経験的工程管理がアジリティを実現

90年代、私が仕事を始めたころ、私は大手食料品店チェーンの本社で働いていました。 この組織は、経費を削減し、収益を向上させるように設計されたテクノロジープロジェクトに多額の投資を行いました。 彼らは、全員がプロジェクトを完了するための工程に従えば、品質と市場投入までのスピードが向上すると信じていました。

従来のウォーターフォールプロジェクトマネジメントに基づいて、システム開発ライフサイクル(SDLC)と呼ばれるプロセスが定義されました。 管理ゲートが設置されていたため、各プロジェクトのドキュメントとメトリクスは見直し可能でした。 並行して実行される多数のプロジェクトが、フェーズのステータスを提供しました。 人々は「リソースプール」の一部であり、プロジェクトに「ロールオン(乗り込み)」し、専門的なスキルを提供し終えたら、プロジェクトから「ロールオフ(降りる)」しました。 プロジェクトマネージャーはプロセスの専門家であり、「すぐに使える」エンタープライズツールを使用してすべての人、すべてのものを導き、すべてのステップにおいて、プロジェクトを把握および指示しました。 組織は、よく調整されたプロジェクト提供マシンを保有していると信じていました。

しかし、真実は大きく異なっていました。 長年、そのマシンを酷使して欠陥や例外が出てると、どんどんとマシンを追加していきました。 最終的には人々が工程を管理する側ではなく、工程に動かされる側になりました。 彼らは「肥大化」を取り除く方法を見つけるための対策本部を設置しました。 最初の会議では、ソフトウェア開発会社の副社長が、仮想のゴミ袋を持ってチームに加わり、不要なものを取り除くように言ってきました。

この組織のプロセスは、定義された工程管理の一例です。 組立ラインのように、製品の構築やプロジェクトの提供に必要な手順を実行する方法は1つしかないと考え、それらを文書化し、全員にそれに従うように要求しました。

経験的工程管理

その後 キャリアを進めていくなかで、複雑な問題に対処する経験的工程管理について学びました。 辞書によると、それは「理論や純粋な論理ではなく、観察や経験に基づいていたり、それを考慮していたり、それによって検証可能である」とのことです。

誰もが経験的工程管理を、おそらく無意識のうちに使用しています。 たとえば運転などと同じで、日常の一部であり、自然な行動です。

たとえば、車で旅行するときは、経験に基づいて観察し、適応します。 速度を確認しながら調整します。 道路を確認して適応します。 11秒くらい毎に、バックミラーを確認して、適応します。 環境や天気をの変化に気づいたら、それに適応します。 道路が閉鎖されていたら、別のルートを使います。 旅行全体を通して検査して適応します。 夜間、目の前の10メートル分くらいしか照らさない灯りの中を運転していたとしても、注意を払って周囲を観察し、適応していけば、無事に目的地に到着するでしょう。

複雑な問題には別のアプローチが必要

あなたは毎日、何らかの問題を解決していると考えてみてください。 どれも毎回同じ方法で解決できますか? 同じ方法を取り入れれば、同じ工程をたどって、毎回、望ましい同じ結果をもたらすと信じていますか? (これを、定義された工程管理と呼びます。) それとも、毎日、解決すべき問題は異なりますか? 単純な問題ならば、定義された工程管理のアプローチに従うことができます。 しかし、いつも問題は単純でしょうか?

超高層ビルなどの、より大きな「製品」の建設を想像してみてください。 高層ビルが無数にありますが、それぞれの建物は違います。 1つ建てるために、かなりしっかりとした事前設計と計画が必要になるでしょう。 ただし、超高層ビルは数あれど、その特定の高層ビルを建設するのは初めてなのです。 つまり解決すべき初めての問題がたくさんあるということです。

それがしっかりと立つためには、特定の作業の流れを整える必要があります。 その過程で、経験主義、頻繁な検査、進捗状況の透明性による適応、この3本の柱を使用することには大きなメリットがあります。 検査官、建築家、建設業者は、建物が、コード、仕様、および使いやすさを満たしていることを確認するために微調整および修正をします。 LastPlanner は、検査と適応のための透明性を保たせる、建設における経験主義を可能にするツールです。

透明性


スクラムでは、透明性とは、チームが進捗状況、開発プロセス、イベント、アーティファクト、および製品を可視化することを意味します。 これらは、スクラムチーム、ステークホルダー、場合によっては顧客など、誰もが見ることができます。

チーム全体で透明性を意識しているため、「現状は?」とか、「誰が何の作業を担当しているの?」といった疑問がなくなります。 透明性により、チームは想定ではなくデータに基づいて意思決定を行うことができます。 (製品開発などにおける)知識労働やアイデアは目に見えないため、透明性の確保が難しい場合があります。

このため、 スクラムチームは チームイベントへの公開招待とは別に、情報ラジエーターを使用します。 スプリントバックログ、タスクボード、バーンダウンチャートをチームルームの中央に表示します。 スポーツアリーナの中央にあるスコアボードのように、「勝ち」または「負け」のステータスが一日中表示され、検査されるため、チームは調整を行うことができます。 彼らが投稿する情報ラジエーターには他にも、製品のビジョンとロードマップ、プロダクトバックログ、完了の定義、障害ログが含まれ、またこれらに限りません。 製品のインクリメントも、スプリントレビュー中の検査に必要ななので、表示されます。 それから、チームはスプリントの境界で翌日の調整を繰り返し行います。

チームは、恐怖心が真実を隠してしまうことを分かっています。 このため、心理的安全性を確立しているチームは、開放性、尊重、集中力、コミットメント、勇気を重んじています。 彼らはこれらのスクラムの価値、特に開放性と勇気を取り入れ、目に見えないものを見えるようにするのです。 「嘘をつかない」は、チームの最初の作業合意1つです。 2つ目は、どんなに悪くても「悪い知らせは早く伝える」ことです。

「スクラムは暴露モデルである」という表現は、その透明性を言い表しています。 事実は公開されているため、対処可能です。 事実は常に存在しているのかもしれませんが、少なくともスクラムにおいては透明であり、それに対して行動することができます。

検査と適応

スクラムチームも、検査と適応を頻繁に行います。 デイリー スクラムでは、チームはタスク ボード、バーンダウン、スプリントの目標を検査し、調整します。 スプリント計画では、チームはスプリントバックログを検査し、許容量に基づいて調整します。

チームは毎日作業しながら、自分たちの「完了の定義」に従い、テストとプロダクトオーナーのフィードバックを通じて検査し、調整します。 スプリントレビュー中に、ステークホルダーは製品のインクリメントを検査し、チームの調整をサポートします。 レトロスペクティブの間、チームはチームと開発プロセスを検査し、調整を行います。 生物がウイルスと闘うように、チームは検査と適応をしながら自己組織化および自己管理をするのです。

調整はうまくいったり、いかなかったりします。 試行錯誤しながら、チームは繰り返し調整を行い、顧客に合わせた製品機能の向上、パフォーマンスの向上、革新性、製品品質の向上を求めていきます。 短く透明なフィードバックサイクルは、検査と適応に役立つ多くの機会をもたらし、意思決定の役に立ちます。

経験的な工程管理とアジリティ

「計画に従うよりも変化に適応する」というアジャイルの価値と、次にご紹介する原則が、経験的工程管理がアジリティの中心であること立証してくれます。

  1. 最優先事項は、価値のあるソフトウェアの、早期かつ継続的な提供を通じて顧客を満足させること。
  2. 開発の後期であっても、変化する要件を歓迎する。 アジャイルのプロセスは、顧客の競争上の優位性のために変化を利用する。
  3. 動くソフトウェアを、数週間から数カ月という、できるだけ短い時間間隔で提供する。
  4. ビジネス側と開発者は、プロジェクト全体を通して毎日連携する必要がある。
  5. 最高のアーキテクチャ、要件、および設計は、自己組織化チームから生まれる。
  6. チームは定期的に、より効果的になる方法を熟考し、それに応じて行動を調整する。

複雑な問題は、経験的工程管理の恩恵を受ける

トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏は、「問題がないことが最大の問題だ」と語りました。 この文脈では、完全な透明性のない環境には、検査や適応ができないというさらに大きな問題があることを言っています。

新製品開発などの複雑な問題は、経験的工程管理の恩恵を受けます。 頻繁な検査、適応、および完全な透明性を備えた製品は、確実に成功するか、むしろ早期に失敗します。 アジャイル製品開発は、学習の機会が生まれるため、早期に、そしてしばしば意図的に失敗します。 最小限の投資で、検証可能な観察と経験を用いて、製品を不確実性から確実性に移行し、最初に最も価値が高く、最もリスクの高い機能に継続的に取り組みます。

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