スプリントの期間:どのくらいにすべき?

ジェイソン・ガードナー(編)

スプリントの期間: どのくらいにすべき?

あなたは現在、スプリントでの作業中かもしれないし、スプリントを開始しようと思っている状態かもしれません。 いずれにせよ、チームにとって理想的なスプリントの期間を知りたいときがあるでしょう。 それぞれのスプリントの期間を決める際、万能の答えはありませんが、スプリントの「最長期間」を決めることはできます。 「ステークホルダーが、優先順位を変えずに待てる最長期間はどれくらいか」と自問してみてください。 立ち止まって考えてみると、答えは意外とすぐに出てくるかもしれません。

言い換えると、2週間のスプリントの途中で、優先順位の変更に基づいて一旦作業を止めて計画し直したり、大幅な調整を行ったりする必要がしばしばある場合、2週間のスプリントを計画することは時間の無駄だということです。

プラチナムエッジが通常おすすめするスプリント期間は1週間です。 この記事では、当社がこれを最適な期間だと判断する理由と、これよりも長いスプリントを検討する必要がある状況について説明します。 また、スプリントの長さが効率や反復的な製品開発に関連するその他の問題に、どのように影響するかについても説明します。

スプリント、そしてその重要性

基礎を固めるために、スプリントとは何か、なぜチームがスプリントで作業するのかを確認しましょう。 スプリントは、基本的に、特定の目標を達成することを目的とした作業を行うための、短期間で固定長の反復です。 スプリントは1か月以内(通常は1〜2週間)で、適応型でアジャイルな開発手法を進めるうえでの非常に重要な要素です。 スクラムチームが開発リズム、集中力、一貫したフィードバックループで作業できるよう、各スプリントの期間は一貫している必要があります。

スプリントの背後にある考え方は、大規模なプロジェクトを、より小さく管理しやすい作業に分割し、 1 つずつ取り組めるようにすることです。 このアプローチにより、チームは集中力を維持し、タスクに優先順位を付け、変化が発生したときに適応することができます。 具体的な目標を設定し、短いスプリントをこなしながら取り組んで行くことで、チームは迅速な軌道修正ができ、順調に作業を進め、より高品質の製品を、より効率的に提供することができます。 総体的にスプリントは、生産性の向上と成功の促進を目指す現代の製品イノベーターにとって非常に貴重なツールです。

スプリント期間の違いと、それぞれの利点

数十年前、まだスクラムが新しい手法だった頃、集中して開発し、納品するまでの期間が1か月でも非常に短いとされていました。 しかし、時間の速度は速くなる一方です。 現在は、1〜2 週間という短いスプリント期間を選択するスクラムチームがほとんどです。 短いスプリントには、より頻繁なフィードバックを提供し、より迅速な軌道修正を可能にするという利点があります。 限られたリソースで作業する場合や、一部の製造環境のように、タスクを完了して結果を確認するためのリードタイムが遅い領域では、より期間の長いスプリントが必要になることはあります。 しかし、3Dプリンティングのようなテクノロジーが、これらの制約を取り除くのに役立つため、期間の長いスプリントの必要性はほとんど見られません。 スプリントの長さに関係なく、事前に明確な目標と期待値を設定し、全員が足並みを揃えてスプリントの目標に向かって進むように、チームが継続的にコミュニケーションをとることが重要です。

1週間のスプリントを推奨する理由

当社は通常、月曜日の朝に開始し、金曜日の午後に終了する1週間のスプリントを推奨しており、最良の結果を得られています。 スプリントが週をまたいでしまうと、チームのメンバーは、もっと先に進めるため、あるいは失われた時間を取り戻すために、週末に働きたくなります。 いずれにせよ、ひとたび週末に働いてしまうと、それ以降は毎週末働くことが当たり前になってきます。 つまりチームがスプリントでできることについて、誤った水準を設定してしまうことになるのです。 そうなると、その後誰もそれ以下のことができなくなります。 それどころか、それ以上のものを期待されることになるでしょう。月曜から金曜までという自然なバイオリズムは、スプリントサイクルにぴったりなのです。

月曜日の朝一番にスプリント計画を立て、チームがその日のうちにそのスプリントのユーザー ストーリーに取り掛かる時間を確保することをお勧めします。 スプリントレビューとスプリントレトロスペクティブを金曜日の終わりに完了させるので、チームは月曜日のスプリント計画まで作業について考えることなく週末に入ることができます。

このアプローチにより、チームは週毎に現実的な目標を設定し、責任を持って職務にあたることができます。 さらに、期間が短いため、チームは集中力を維持し、タスクに効率的に優先順位を付けることができ、顧客のニーズや市場動向の変化に応じて調整できます。 スクラム チームが1か月のスプリントで作業すると、検査して適応する機会は1年間に12回だけです。 2週間のスプリントになると、年間 26 回の検査と適応の機会が得られます。 また、1週間のスプリントの場合は、検査と適応の機会が年52 回得られます。 私たちは、この反復的なアプローチが、より良いコミュニケーションを促進し、チームの士気を高め、最終的に製品の品質を向上させることが経験からわかっています。

1週間のスプリントを成功させるためのヒント

1週間のスプリントを成功させるための最も重要な要素の1つは、1週間を通して安定したベロシティです。 つまり、効果的なスクラムマスターは、各チームメンバーがタスクを完了するために必要なリソースを確保し、速度を低下させる可能性のある障害がないことを確認します。 1日作業が滞るほどの障害は、スプリントの 20%も占めてしまうことを忘れないでください。 さらに、チームが割り当てられたタスクとそれを完了するために必要な時間の長さに圧倒されないようにすることが重要です。 これらの重要な要素を念頭に置いておくことで、チームが生産的かつ効率的な方法でスプリントの目標を達成できるようにサポートできます。

短めのスプリントの利点

生産性とチームの士気に関しては、短いスプリントが驚異的な効果を発揮します。 チームメンバーが特定のタスクに集中し続けるのに役立つだけでなく、健全な切迫感が生まれることで、やる気が出て気が散るのを避けることができます。 短いスプリントにすることで、チームメンバーは大きなプロジェクトをより小さく、より管理しやすい塊に分割できるため、圧倒されたり不安になったりする気持ちも軽減します。 さらに、短いスプリントは、チームメンバーが協力してアイデアを共有する絶好の機会を提供し、一体感とチームワークを育みます。 総体的に見て、短いスプリントを組み込むことで、生産性を向上させると同時に、チーム全体の雰囲気と士気を向上させることができます。

しかし、スプリントが短いと、会議の時間が増えるのでは、と思いませんか?

スプリントを短くすると、会議の頻度は高くなるのですが、実際には会議に費やされる時間の割合は減少します。 これは数学的なことではなく、スクラムチームがスプリント期間を短縮した結果、会議に費やす時間の割合を減らしているのを経験的に見てきました。

スプリント計画やスプリントレビューなどのスクラムイベントは、スプリントの期間に応じてスケーリングされることを忘れないでください。

たとえば、『スクラムガイド』には、スクラムチームが1か月のスプリントのために費やすことができるスプリント計画の時間は、最大1日であると記載されています。 正直に言うと、それでは昼食の時間までに精神が消耗してしまいます。 さらに、一日の終わりに「もっと時間が必要だ!」と思う可能性も高くなります。 しかし、2週間のスプリントの場合、スプリント計画に費やす時間は最大で半日だと予想されますが、2週間のスプリントを実行するスクラム チームが、そこまで多くの時間を必要とすることはめったにありません。 そして1週間のスプリントでは、スクラムチームの動きが迅速になり、扱うべきスコープが小さくなり、複雑さが軽減されます。 そのため、実際には、スプリントが短い方が、開発により多くの時間を費やすことができるのです。 スクラムチームが短いスプリントに移行する際に、常にこのメリットを確認することができます。

まとめ

スプリントは、プロジェクトを順調に進め、チームメンバー間のコミュニケーションとコラボレーションを促進し、開発プロセスに構造と規律をもたらすことができます。 スプリントの期間は、1〜4 週間の範囲で設定できます。 プラチナムエッジでは、最適な生産性とチームの士気を高めるために、通常1週間のスプリントを推奨しています。 適切な準備とスケジュール設定を行うことで、1週間のスプリントは、特定の目標への集中力の維持、変化に応じたアジリティの最適化、チーム間の透明性の向上など、多くのメリットをもたらします。 この情報を念頭に置いて、ご自身が属する組織について詳しく検証し、チームにとって理想的なスプリントのサイクルタイムを検討してください。

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