ジェイソン・ガードナー（編）
スクラムとは何か、そしてその始め方
あなたは、プロジェクト管理と製品開発の、進化し続けるダイナミクスに混乱している専門家でしょうか？ 無理もありません。新しいテクノロジーやコンセプトが、かつてないほどのスピードで仕事場に導入される昨今、最新の状態を維持し続けることは、これまで以上に難しくなっているのですから。 そのような概念の１つがスクラムです。スクラムとは、価値を提供するために、進捗状況を反復的かつ適応的に検査、そして適応するアジャイル・フレームワークです。 「軽量フレームワーク」と定義され、チームの価値提供能力を大幅に向上させ、顧客満足度の向上、離職率の低下、チームの士気の向上をもたらすということで、近年、爆発的に人気が高まっています。 スクラムは、プロセスに依存しない経験的なプロセス制御フレームワークです。 つまり、詳細な事前計画ではなく、観察と実験に基づいて決断が下される、リアルタイムの意思決定に基づいていることを意味します。 そして、知識は経験と情報に基づいた意思決定から来るものだ、という原則に基づいて機能します。
スクラムの核にあるのは、透明性、検査、適応という３つの柱です。
- 透明性 事実をそのまま提示することを意味します。 自由な透明性とは、すべての情報が、チームの全メンバーとステークホルダーに示される必要があるということです。 これには、目標、進捗状況、プロセス、および問題が含まれます。
- 検査 チームメンバーは、目標に向けた進捗状況を定期的にチェックして、何が機能しているかを判断し、望ましくない差異を検出します。 透明性により、定義されたプロセスが機能しているかどうか、そしてそれが望ましい結果につながるかどうかを理解するのに役立つ、頻繁な検査が可能になります。
- 適応 検査の結果、現在のプロセスと手順がチームを目標に近づけていないことを示している場合は、プロセスを適応させるか、方向を変更する必要があります。 スクラムは即時の適応を可能にするので、変更の必要性が特定されたら、即座に変更を加えることができます。
経験主義、つまり既知のものに基づいて決定を下す原則こそ、スクラムの核心です。 このアプローチにより、チームは変化に迅速に適応し、最高の価値を顧客に提供できます。 この記事では、スクラムとは何か、そしてなぜ組織がスクラムの採用を検討すべきなのかを見ていきます。 フレームワークのコア構造、利点と落とし穴のあらゆる側面を、実装のための有用なアドバイスとともに解き明かしていくことで、顧客のニーズにまつわる適切な決定を下すことができます。
スクラムとその要素
スクラムは、製品開発におけるコラボレーション、適応性、および継続的な改善に重点をおくフレームワークです。 これは、アカウンタビリティ、成果物、イベント、および価値というセットで構成されます。
スクラムの責任範囲
スクラムには、プロダクトオーナー、スクラム マスター、開発者の 3 つの役割、あるいは責任範囲があります . プロダクトオーナーは、製品の目標を定義し、顧客にとっての製品の価値を最大化する責任があります。 スクラムマスターは、スクラムチームとステークホルダーのコーチとして機能し、スクラムの価値観が確実に受け入れられるようにします。 開発者は、製品を構築する実際の作業に責任があり、定期的に進捗状況を検査して適応します。 各役割には、効果的なコラボレーションのために互いに補う、それぞれの職責、あるいは「責任範囲」があります。
スクラム成果物
スクラムは、プロダクトバックログ、スプリントバックログ、インクリメントという3つの主要な成果物によって特徴付けられ ます . これらの成果物は、重要な情報の透明性を最大化するように設計されているため、より良い検査と適応が可能になります。
プロダクトバックログ 顧客に価値を提供するにあたって、プロダクトの目標ースクラムチームの長期的な目標ーを達成するために行う必要がある、すべての順序付けされたリストのことです。 プロダクトバックログは、要件に関する唯一の情報源であり、進化する顧客のニーズと目標を反映するために、絶えず変化していきます。
スプリント バックログ 現行のスプリントに対して選択されたプロダクトバックログ項目の一式で、顧客主導型のスプリントの成果、またはスプリントの目標、そして、それらを提供するための計画と一致します。 スプリントバックログは、開発者がスプリント中に達成する予定の作業の状態をリアルタイムで提供します。
インクリメント スプリント中に生産される価値や機能の増分であり、製品全体の目標に向けた進捗状況を検査するために有用で価値があるものです。 スプリントレビューでは、スクラムチームとステークホルダーが、共にインクリメントを検査し、それに応じてプロダクトバックログを適応させます。
スクラム イベント
スクラムには、スプリント計画、デイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブといった、タイムボックス方式のイベントも含まれており、スクラムチームのコラボレーションにおける透明性、検査、適応を促します。 スクラムの要素を活用することで、チームは生産性を高め、納期を短縮し、リスクを軽減し、より迅速なフィードバックを可能にし、最終的には高品質の製品を顧客に提供することができます。
スクラムの価値
スクラムは、その実践の基盤を形成する５つのコアバリュー、つまり勇気、集中力、確約、尊敬、公開に基づいて構築されています. 「勇気」によって、スクラムチームのメンバーには、難しい問題に取り組み、困難な決断を下す力が備わります。 「集中」とは、スプリントの作業とスクラムチームの目標に集中することです。 「確約」とは、スクラムチームの目標を達成するためのチームの献身を指します。 「尊敬」は、チームメンバーがお互いの唯一無二な能力と洞察力を尊重することです。 そして「公開」とは、チームメンバーが作業状況や、直面している課題についてオープンになることです。これにより透明な職場環境を促します。
スクラムマスターの役割
ファシリテーターとしてのスクラムマスター 複雑な環境でチームが効果的に機能するうえで、極めて重要な役割を果たします。 スクラムマスターには、組織の構造、依存関係、またはチーム独自のプロセスに関連しているものかどうかにかかわらず、チームの進行を狂わせる可能性のある障害を取り除く責任があります。 基本的に、スクラムマスターは、チームが成功するための適切な環境を確保し、全員の認識が一致していて、同じ目標に向かって作業できるようにします。 全員の足並みを揃える能力を備えたスクラムマスターは、プロジェクトを成功させるために不可欠な要素です。
スプリント内では何が起こるのか
スプリントは、継続的かつ固定期間の反復サイクルで、これによりスクラムチームは、ビジネス上の目標（つまり、プロダクトゴール）に向けての作業を計画し、完了し、成果を検査をし、次のスプリントでプロダクトゴールに向かって進歩および改善する方法を見つけることができます。
スプリントはスプリント計画から始まります。つまりスクラムチームがそのスプリントに注力する理由 （スプリントの目標）、目標を達成するために実行できる作業（必要なプロダクトバックログ項目）、作業を完了する方法（開発者の作業分解タスク） を決定します。
デイリースクラム またはスタンドアップ・ミーティングは、開発者がアクティビティを同期し、次の24時間の計画を立てるための、同じ時間、同じ場所で行われる短いミーティングです。
スプリントレビューは、スプリントの最後に実施され、ステークホルダーと共にインクリメントを検査し、学んだ内容を反映させるためにプロダクトバックログを適応させます。
スプリントの最後は、スプリントレトロスペクティブを行います。これはスプリントレビューの後、次のスプリントの前に開かれるミーティングで、スクラムチームが次のスプリントでチームとしてどのように改善できるかについて話し合います。
スクラムにおいて、スプリントは、透明性、検査、適応を提供し、チームが高品質の製品を提供するために、プロセスを継続的に修正および改善するのに役立ちます。
スクラムを採用する利点
スクラムはチームに多くのメリットをもたらします。 柔軟性の向上から適応性の向上まで、このアプローチにより、チームは変化するプロジェクトのニーズに、より機敏に対応できるようになります。 スクラムを採用することにより、チームはオープンなコミュニケーションと定期的なフィードバックのループによって、協力して作業するよう促されます。 このアプローチは、仕事の質を向上させるだけでなく、チームが本来の目的からずれることなく進み、必要に応じて戦略を調整するのにも役立ちます。 さらに、スクラムによって、チームは重要度と緊急性に基づいて作業に優先順位を付けることができるので、最も価値の高いタスクに最初に取り組むことが保証されます。 スクラムを実装することで、チームはワークフローを最適化し、時間とリソースを最大限に活用できます。
スクラムを実装するためのツールとリソース
組織にスクラムを実装することを検討している場合は、その過程で役立つさまざまなツールとリソースを利用できます。 まず最初に重要なリソースの１つは、 スクラム ガイド： スクラムフレームワークと、その主要な原則について詳細な概要を提供します。
その次に、信頼できるコーチング／トレーニング組織との提携を検討することをお勧めします 。その一つがプラチナムエッジです。. 専門家の指導とサポートにより、特定のニーズと目標に合わせたスクラム実装計画を作成できます。
また、頻繁に参照するためのフィールドガイドを用意することも重要です。 『Agile Project Management For Dummies』 本書は、製品開発におけるスクラムにとって優れたリソースであり、従来のモデルから、よりアジャイルなモデルへの移行がどのようなものかが分かります。 あるいは 『Scrum For Dummies』 本書は、スクラムがさまざまな産業（製造、建設、教育、ヘルスケア、防衛、出版など）、さまざまな職分（営業、マーケティング、運用、人事、財務など）、および個人の生活（富の構築、教育の追求、結婚式や休暇の計画など）でどのように実装されているかを理解するのにも役立つでしょう。
最終的に、適切なツールとリソースがあれば、スクラムを正しく実装し、スクラムが提供する多くのメリットを実現することができます。
スクラムプロジェクトで避けるべき一般的な落とし穴
スクラムは、その機敏で適応性のあるアプローチにより、ソフトウェア開発業界で絶大な人気を博しています。 ただし、回避しないとスクラムプロジェクトを脱線させてしまう可能性のある特定の落とし穴があります。 よくある間違いの１つは、明確で定義されたプロダクトバックログがなく、チーム内の混乱や混乱につながることです。 もう 1 つの落とし穴は、作業量の過剰な確約で、特定のスプリントで完了できる作業量を現実的に見積もっていないことです。 これは、遅延や締め切りに間に合わないことにつながり、最終的にプロジェクトの成功に影響を与える可能性があります。 さらに、チームメンバー間のコミュニケーションとコラボレーションの欠如は、進歩を妨げ、士気を低下させる可能性があります。 これらの落とし穴を認識して回避することで、スクラムチームはプロジェクトを成功させ、タイムリーに達成することができます。
結論として、スクラムは、チームがプロジェクトの管理において生産性と効率を高めることを可能にするアジャイルフレームワークです。 プラチナムエッジ は、 スクラムの実装が必ずしも簡単ではないことを理解しています。 だからこそ当社は、 チームコーチング と共に 認定アジャイルトレーニングをご提供しています。これらのリソースをご利用いただくことは、あなたが次のプロジェクトでスクラムの実装を成功させるための良い出発点になります。チームの同意を得る段階であっても、スクラムをより効果的に使用する方法を学びたいだけ、という場合であっても、私たちにお任せください！ 当社のトレーニングとコーチング・プログラムにより、あなたのチームは、アジリティを可能にするアプローチを使用してあらゆるプロジェクトに取り組むスキルと自信を身に付けることができます。迷う理由はありません。今すぐご連絡いただき、プロジェクトを始めましょう！
